モラルハラスメントをご存知ですか?
モラルハラスメントは、言葉や態度などによる精神的な嫌がらせなどを指し、略して「モラハラ」と言われることもあります(ここでは以下、モラハラとします)。
モラハラの例をいくつか挙げますが、以下のような事例に心当たりがある方もいるのではないでしょうか。
- 仕事をしている自分を誇りに感じている
- 専業主婦をばかにする
- 気に入らないことがあると物を壊す
- 俺が食わせてやっているだろと平気で言う
- 「こんなことも分からないのか?」などとばかにして言う
- 家事は妻が行って当然であり、まったく関心も理解も示さない
- 自分に非があっても絶対に謝らない
- 意味不明な理由でキレて、その後、無視する
- 外では子ども好きな良い父親を演じたがる
- 反論されると、異常なまでに不機嫌になったり、怒ったりする
このように、モラハラは精神的な嫌がらせなどであり、殴ったり、蹴ったりするような暴力ではありません。夫が妻を殴った場合などは、暴力を正当化しているかは別として、夫自身も暴力をふるった自覚はあるでしょう。
しかし、モラハラをしている当人は、相手が嫌がっていることに気づいていない可能性があります。夫のモラハラの例として、暴言を吐いたり、妻の考えを聞かずに自分の信念を押し付けたりすることなどが挙げられますが、自分が嫌がらせをしている認識がない場合もあるのです。
一方、モラハラ被害者は、言葉や態度で繰り返されるモラハラに心のダメージを受けてしまい、「嫌がらせをされている」と怒るのではなく、「自分が悪いからモラハラをされる」と自分に非があると感じる傾向があります。また、モラハラ行為に対して文句を言ったり、反論したりすることができない傾向もあります。
モラハラ加害者は「自分が正しいことをしている」と信じており、モラハラ被害者は「自分が悪い」と思い込んでいることが、問題を難しくしています。
モラハラは外から気付きづらい
モラハラは、夫婦間で発生するため、両親や友人に相談しても理解されにくいものです。夫婦間のコミュニケーションの問題なのか、夫婦喧嘩の一種なのか、それとも単なる愚痴なのか、モラハラとの区別が明確ではないからです。
モラハラ加害者は、家庭外では穏やかな態度だったり、子どもが大好きな「いい親」を演じたりしているので、周りからは一見すると問題がないように見えることもあります。
モラハラに耐えることのリスク
モラハラ加害者は、モラハラ行為が悪いことである自覚がないことが多いです。子どもがいる場合、子どもの面前でモラハラ行為をしたら、子どもはどのように感じるでしょうか?子どもの成長にとってよい影響はあるでしょうか?
一方、モラハラ被害者からすると、モラハラ行為がいつか終わるという保証はありません。モラハラ加害者がモラハラについて自覚し、止めてくれればいいのですが、なかなか期待できないでしょう。モラハラに耐え続けとしても、その先に平和な家庭があるのかは、冷静に考えたほうがよいかもしれません。
ただ現実的に、モラハラ加害者の収入に頼って生活しているのであれば、離婚という最後の手段をすぐに決断することはリスクがあります。まずは、モラハラへの対応方法を検討し、モラハラ加害者から自立して生活することを考える必要があるでしょう。
その一つが、同じような悩みを抱える人の体験談を読むことです。モラハラで苦しんだり、被害を乗り越えたりした方のブログなどを読むと、苦しんでいるのは自分だけではないと思えるでしょう。モラハラへの対応方法が見つかるきっかけになるかもしれません。
とはいえ、モラハラは簡単な問題ではありません。モラハラでお悩みの方は一度、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。いきなり離婚という決断に至るのではなく、別居など離婚以外の選択肢を一緒に検討し、解決への糸口を探ることができるでしょう。