調停委員はどんな人?調停の進め方
「調停委員はどのような人ですか?」
「調停委員にはどのように話をすればよいのですか?」
「私だけで調停委員と話ができますか?」
離婚調停をお考えの方から、このようなご質問をいただくことがよくあります。
調停委員は、離婚調停において当事者間の話し合いを仲介し、助言や説得を交えて解決に導いてくれる人です。
離婚調停を有利に進めるためには、調停委員の役割を理解した上で、自分の言い分をしっかりと伝えて、調停委員に自分の事情や意見を理解してもらうことが重要となります。その結果、調停委員が味方になってくれれば、とても頼もしいものになります。
調停委員はどんな人?
調停委員になるために資格は特に必要ありませんが、最高裁判所から任命を受ける必要があります。
その条件は、以下の3つの要件のどれかに当てはまり、かつ、40歳以上70歳未満で人格見識が高く、人生経験も豊富な人であることです。
・弁護士資格がある人
・民事・家事のトラブル解決に役立つ専門的な知識がある人
・社会生活上の豊富な知識と経験がある人
実際には、その地域の学校の校長先生や民生委員などが調停委員に選ばれることが多いです。弁護士や司法書士などの法律の専門家が選ばれることもあります。
調停委員の役割
調停委員の役割をひとことで言うと、意見が対立している当事者を話し合いによって合意に導き、トラブルの解決を図ることです。
まずは当事者双方から言い分を聞き、問題点を整理した上で双方に譲歩を勧め、話し合いを徐々にすり合わせて合意による解決に導いていきます。
調停委員には、専門的な知識や豊富な人生経験に基づく助言や説得を行うことによって、当事者双方が納得する解決を図るという役割が期待されています。
離婚調停では男女1名ずつの調停委員が担当
どんな分野の調停でも2名の調停員が1件の調停を担当しますが、離婚調停では男女1名ずつの調停委員が担当することとされています。
これは、離婚調停の当事者が夫婦であることから、男性・女性それぞれの視点を公平に手続きに反映させるという裁判所の配慮によるものです。
調停委員には敬意をもって接する
離婚調停では、当事者は調停委員とのみ話をします。あなたの言い分は調停委員を通じて相手方に伝えられ、相手方の反論も調停委員を通じてあなたに伝えられます。
相手方を説得したい場合は、調停委員から説得してもらわなければなりません。
したがって、調停を有利に進めるためには調停委員に良い印象を持ってもらうことが重要であり、そのためには敬意をもって接することです。
調停委員も人間なので、無礼な人や態度が悪い人には協力したくないという感情が起こることがあります。
相手方に対する感情が抑えがたい場合でも、調停委員に対しては誠実な態度で言い分を伝えるようにしましょう。調停委員に「分かってもらえない!」「相手方の味方ばかりする!」とケンカするような態度では、せっかく、調停で話し合いをしようとしたのに、うまくいかなくなります。
獲得したい結果を明確に
離婚調停は話し合いの手続きなので、自分の言い分が全面的に通ることはほとんどありません。何らかの点で、調停委員から譲歩を求められるはずです。
そのときのために、絶対に譲れないことと譲ってもよいことを整理して、最終的に獲得したい結果を明確に決めておきましょう。
例えば、「慰謝料は譲っても構わないが、親権は譲れない」「慰謝料は300万円欲しいが、200万円までは譲っても構わない」というようなことです。
調停委員に対してこのような伝え方をすることで、譲れない部分では調停委員が相手方の説得に努めてくれる可能性が高まります。
言い分を分かりやすくまとめておく
離婚調停では、調停委員という第三者に自分の言い分を理解してもらわなければなりません。
調停委員に対して、感情的な悩みばかりを話しても言い分は伝わりません。
なぜ親権を譲れないのか、どのような根拠で慰謝料○○万円を求めるのか、といった理由を事実に基づいて説明する必要があります。
調停の席上では、感情的になってしまったり、緊張して十分に話せないといったことが起こりがちです。
そのため、調停委員に伝えたい言い分は事前にまとめておき、分かりやすく説明できるようにしておきましょう。
時間が限られているので、簡潔に伝える
調停では、時間が限られています。あなたと相手方がそれぞれ、約30分ずつ交代で調停委員と話します。最初の30分は、あなたの主張を伝え、調停委員から質問等がある時間になりますが、事前の準備をある程度していても、あっという間に過ぎてします。
そして、1回の調停にかかる時間は2~3時間なので、あなたが話せる時間は1時間~1時間半ほどです。
感情的な悩みを話しているとすぐに時間が過ぎてしまうため、調停委員に言い分を理解してもらうために必要な事情のみを簡潔に伝える必要があります。
事前に伝えたいことを文書にまとめる
実際のところ、調停委員に伝えたいことを調停の限られた時間ですべて伝えるのは難しいものです。
簡潔な事情のみではなく、さまざまな背景事情も伝えた方が調停委員の理解が得られやすく、味方についてもらいやすいということもあります。
そこで、調停委員に伝えたいことを詳しく記載した書面を作成し、事前に提出しておくことをおすすめします。
そうすれば、調停が始まる前に調停委員に自分の言い分を理解してもらえるので、調停を有利に進めやすくなります。
調停を有利に進めるには弁護士への依頼が有効
離婚調停を弁護士に依頼すれば、調停に同席してもらうことができます。自分で上手に説明できなくても、弁護士が代わりに意見を述べてくれます。
また、弁護士があなたの話を聞いた上で、離婚調停を申立てた事情を説明した文書を作成し、裁判所に書類を提出してくれます。
弁護士の力を借りることで、調停委員の理解を深め、離婚調停を円滑に進めることが期待できるでしょう。
また、弁護士が調停に出席するので、気になった問題点をすぐに検討することもできます。調停ではいろいろな決断が求められます。弁護士が同席することで、調停が円滑に進む以外にも、自分一人で調停を行うよりも精神的なゆとりが生まれると思います。
離婚調停について相談したいという方は、ぜひ、当事務所に相談してみてください。離婚調停は少なくありません。あなたにあった離婚調停をすることができ、人生の再スタートに向かって良い船出になるといいですね。