離婚後に心配なことの一つに、「現在加入している医療保険は、離婚したらどうなるのか?」ということがあると思います。
離婚後の医療保険について解説する前に、日本の医療保険制度について簡単に説明します。
日本では、国民皆保険制度が導入されているため、すべての国民が公的な医療保険に加入することになっています。病気になると保険証を持って病院へ行きますが、窓口で支払うのは医療費の全額ではなく、自己負担分だけで済むのは、この制度のおかげです。
一方、アメリカでは、約7割の国民が民間の医療保険に加入しているといわれており、医療保険に加入していない国民もいます。手術で1日入院すると100万円以上かかったり、歯を1本治療するのに約10万円かかったりするともいわれています。
日本とアメリカの制度と比べると、日本の国民皆保険制度は大変ありがたいものです。
日本の公的医療保険は、大きく分けて2種類あります。「国民健康保険」と「健康保険」です。国民健康保険は自営業やフリーターなどが加入するもので、健康保険は全国健康保険協会や各種健康保険組合などの会社員が主に加入するものです。
離婚後の医療保険はこうなる
離婚後の医療保険に関係するのが、夫や自分がどのような医療保険に加入していたかです。ここでは、会社員として勤務している夫の健康保険に被扶養者として加入しているケースを考えてみましょう。
離婚後は被扶養者になりませんので、離婚後に引き続き同じ健康保険に加入することはできません。それぞれのケースに応じて、以下のような手続きが必要となります。
すぐに就職する場合
就職先の健康保険に加入します。健康保険の手続きは、一般的に就職先の会社が行ってくれます。
自営業や会社などに就職しない場合
国民健康保険に加入します。市役所(町役場)に、これまでの健康保険の資格喪失証明書を提出し、国民健康保険の手続きを行います。国民年金の種別変更も同時に行います。
なお、経済的に支払う余裕がない場合、保険料の減額制度を利用できることがあるようです。
夫が自営業やアルバイトなどの場合
夫が自営業やアルバイトなどで、妻や子どもが夫の扶養家族であった場合、離婚時に夫が国民健康保険被保険者資格喪失届を市役所(町役場)へ提出し、妻や子どもを扶養から外す手続きを行います。
離婚後は扶養家族ではなくなりますので、上述と同様に、就職するのであれば就職先の会社の健康保険に、自営業などの場合は国民健康保険に改めて加入する必要があります。
子どもがいる場合
子どもの公的医療保険(健康保険・国民健康保険)については、親権があるかどうか、実際に同居しているかどうかは問題となりません。そのため、離婚後も、子どもは、親権を持たない親が加入する公的医療保険に被扶養者として加入し続けることも可能です。
しかしながら、離婚後の子どもの公的医療保険を夫に頼るよりも、子どもの親権者が加入する医療保険に移すことが多いと言えます。
自分自身が会社員などの場合
会社員などの場合、夫の被扶養者ではなく、公的健康保険に加入済みのケースがほとんどです。保険料が毎月の給与から天引きされていることをご確認ください。
離婚後も引き続き勤務する場合は、離婚をした場合でも特段の手続きは必要ありません。ただ念のため、勤務先に確認すると安心でしょう。