会社員の離婚(会社員が離婚する場合)
会社員の方は、会社からもらう給料のみで生活していることが多いため、収入や資産を把握しやすいのが特徴です。
しかし、そんな会社員の方でも離婚する際に取り決めておくべき内容は、事情に応じて異なります。
夫が会社員で妻が専業主婦の場合と、夫婦ともに会社員の場合でも異なる点に注意が必要です。
そこで、会社員の方が離婚を切り出す前に考えていただきたい5つのことをご紹介します。
■離婚原因について
夫婦のどちらが離婚の原因を作ったにせよ、お互いに離婚に同意する場合は、離婚することそのものについて問題はありません。
しかし、ご自身が不倫やDVなどで離婚の原因を作った場合は、原則として妻の同意がない限り離婚することはできません。
この場合、離婚条件で譲歩することによって妻の同意が得られるように話し合う必要があります。
一方、妻が離婚原因を作った場合は、夫の意思のみで離婚することができます。ただし、妻が離婚を望まない場合には裁判が必要になることもあります。
■親権や養育費について
離婚する際は、未成年のお子さまの親権者を夫婦のどちらかに決めなければなりません。
夫としては、お子さまの年齢が低ければ低いほど、妻が親権者となるケースが多いことを知っておく必要があります。
どうしても親権を獲得したい場合は、保育施設などを利用したり、親族の手を借りることなどによって夫のみでも十分にお子さまを養育できる環境を整えなければなりません。
妻が親権を獲得した場合は、離婚後の養育費の支払いについても取り決めておきましょう。
養育費の額は夫婦それぞれの年収やお子さまの人数・年齢によって決められるのが一般的です。
妻も会社員として働いている場合は、専業主婦の場合よりも夫が支払うべき養育費は少なくてすみます。
ただ、養育費の金額は夫婦の問題とは切り離して、お子さまの成長のことを第一に考えて取り決めることが大切です。
どちらが親権を獲得した場合でも、面会交流についてもきちんと取り決めておきましょう。
お子さまにとっては父も母も大切な存在なので、離婚はしてもお子さまに対しては両親の愛情を注いであげるべきです。
■財産分与について
結婚中に夫婦が共同して築いた財産は、離婚するときに財産分与として分け合うことになります。
分け合うべき財産は、預貯金や不動産だけではありません。会社員の場合は、退職金や勤務先での財形貯蓄、社内積立や自社株なども分け合う必要があります。
また、妻も会社員として働いている場合は、妻の預貯金なども公平に分け合うことを忘れないように注意しましょう。
妻が専業主婦の場合でも、へそくりなどを隠している場合があります。妻のへそくりも、夫が渡した生活費の中から貯めたものであれば財産分与すべきです。
離婚を切り出す前に、できる限り、妻が管理している財産を把握しておいた方がよいでしょう。
■慰謝料について
ご自身が不倫やDVなどによって離婚原因を作った場合は、妻に対して慰謝料を支払わなければなりません。
ただ、会社員の場合はまとまった金額を一括で支払う余裕がないことも多いと思います。
そんなときは、誠実に話し合うことによって慰謝料の金額を下げてもらったり、分割払いを認めてもらうことも考えられます。
一方、妻が不倫などによって離婚原因を作った場合は、妻に対して慰謝料の支払いを請求することができます。
この場合も、妻の支払い能力を見極めて慰謝料の金額や支払い方法を取り決める必要があります。また、不倫相手に対して慰謝料を請求するかどうかも検討することになるでしょう。
■年金分割について
年金分割は、夫婦のどちらが離婚原因を作ったのかとは無関係に認められる制度です。そのため、妻が年金分割を希望する場合には応じなければなりません。
ただ、妻も会社員として働いている場合は、夫から妻に対しても年金分割を求めることができます。
■困ったときは弁護士へご相談を
離婚を切り出す前には、以上のことについて十分に検討しておかなければなりません。そして、離婚を切り出した後は夫婦で一つひとつについてじっくり話し合うことが必要です。
早く離婚したいから、あるいはご自身が離婚原因を作ってしまったから、などの理由があったとしても、不利な離婚条件で妥協することはおすすめできません。
離婚後の人生を充実した実りあるものとするためには、離婚条件を適切な範囲内で取り決めることが大切です。
相手との話し合いがスムーズに進まないときは、弁護士へご相談されてみてはいかがでしょうか。
離婚問題の経験が豊富な専門家の意見を聞くことで、最適な解決策が見つかると思います。
当事務所では、悔いの残らない形で人生の再スタートを切っていただけるように尽力させていただきます。