医師・経営者の離婚(医師・経営者が離婚する場合)
医師や経営者の方は収入が高く、保有資産の種類も多岐にわたることが多いという特徴があります。
そのため、医師や経営者の方が離婚するときには金銭的な条件でトラブルが起こりやすいという印象を受けます。
そこで、医師や経営者の方が離婚を切り出す前に考えていただきたい6つのことをご紹介します。
■離婚原因について
医師や経営者の方は経済的に余裕があるためか、浮気や不倫をして離婚に至るケースが比較的多くあります。
また、多忙な方が多いため、夫婦の交流が薄くなり、性格の不一致のような理由で離婚されるケースも少なくありません。
どちらに離婚原因があるにせよ、お互いに離婚に同意するのであれば、離婚すること自体に問題はありません。
しかし、明確な離婚原因がない場合や、ご自身に離婚原因がある場合は、相手の同意がなければ原則として離婚することはできません。
そのような場合に離婚するためには、夫婦でじっくり話し合ったり、離婚条件で譲歩することなどによって相手の同意を求めることが必要になります。
■親権や養育費について
離婚するときには、どちらが未成年のお子さまの親権者となるかでもめることがよくあります。
経済的に余裕があることは親権を獲得するために有利な事情となりますが、多忙であることは不利な事情となってしまいます。
親権を獲得するためには、保育施設の利用や親族の協力を得るなどしてお子さまを養育する環境を整えることが重要になります。
妻が親権者となった場合は、養育費や面会交流についても離婚時に取り決めておきましょう。
養育費の金額はお互いの年収などに応じて決めるのが一般的です。
ただし、事業所得者の場合は実際の収入が確定申告に必ずしも正確に反映されていないケースが少なくないという点に注意が必要です。
お子さまの成長を第一に考えて、適切に養育費の金額を決めるようにしましょう。
■財産分与について
財産分与では、基本的には夫婦が共同で築いた財産を2分の1ずつに分けることになります。
しかし、医師や経営者の場合は独自の才能や努力によって築いた財産も多いので、必ずしも2分の1に分けなければならないわけではありません。
具体的な事情に応じて、妻に何割を分与するのかを検討することになります。
法人を運営している方の場合、財産分与の対象となるのは個人名義の財産のみです。ただし、そのために妻にとって酷な結果となってしまうケースもあります。
円満に離婚するためには、妻の離婚後の生活にもある程度は配慮して財産分与を行うことも必要でしょう。
■妻の退職について
医師や経営者の中には、妻を雇用して事業を手伝ってもらっていた方も少なくないでしょう。
その場合、離婚したからといって妻が当然に退職となるわけではありません。かといって、雇用している人を自由に解雇することもできません。
離婚した妻に退職してもらいたい場合は、その旨を話し合う必要があります。退職金を上積みするなどの配慮が必要な場合もあるでしょう。
■慰謝料について
経済的に余裕がある場合、離婚する際に高額の慰謝料を支払う必要があると思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
慰謝料の支払い義務や金額は、どちらが離婚原因を作ったのかや、それによって相手にどの程度の損害を与えたのかによって決まります。
妻が浮気をするなどして離婚原因を作った場合は、逆に妻に対して慰謝料を請求することもできます。
■年金分割について
年金分割の対象となるのは、厚生年金の部分のみです。医師や経営者の中には、国民年金にのみ加入している方もいらっしゃることでしょう。
その場合、妻は年金分割を請求することができません。逆に、妻が厚生年金に加入していた場合は、夫が妻に対して年金分割を請求することができます。
ただ、妻に年金分割を請求するかどうかは、他の離婚条件も考慮しつつ慎重に検討した方がよいでしょう。
■お困りのときは弁護士へご相談を
たとえ経済的に余裕があるとしても、離婚する際の財産分与や慰謝料、養育費の支払いなどの負担は軽いものではないでしょう。
離婚後も安心して仕事に集中するためには、適切な離婚条件で、かつ、できる限り円満に離婚を成立させたいところです。
そのためには一度、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。
法律の専門家として数多くの離婚問題を扱っている弁護士に相談すれば、参考になるアドバイスが得られることでしょう。
当事務所では、ご自身にとって最良の決断をくだされ、今後の人生も充実したものとしていただくために尽力させていただきます。