遺産分割の流れ

「遺産分割で親族ともめたくない」
「他の相続人と意見が対立して遺産分割の交渉が進まない」
「遺言書が見つかったが、内容に納得できない」

遺産分割をするときには、各相続人が譲り合い、冷静に話し合うことが大切です。しかし、仲の良かった家族でもお金の問題が絡むと感情的に対立してしまい、交渉が進まないことも少なくありません。

相続のトラブルを避けるためには、遺産分割の正しい進め方を知っておく必要があります。

遺言書の有無の確認

まずは、遺言書がないかどうかを確認しましょう。遺言書がある場合は、基本的に指定された内容のとおりに遺産分割を行うことになります。

遺言書が見つかった場合は、その遺言書が法的に有効かどうかを確認する必要があります。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認を受けることが必要です。

遺言書が有効な場合でも、相続人全員の合意があれば別の方法で遺産分割を行うこともできます。ただし、それを他の相続人に強制することはできません。

兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という権利があるので、無理に遺産分割協議をしなくても一定額の遺産を取得できます。

相続人と相続財産の確定

次に、相続人と相続財産の範囲を調査し、確定します。

なお、相続財産の調査の結果、借金などマイナスの財産の方が多い場合には、相続放棄や限定承認を検討した方がよいでしょう。

遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議によって誰がどの遺産を相続するのかを決めていきます。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。一部の相続人が参加しないまま遺産の分け方を決めた場合、その遺産分割協議は無効となります。

ただし、相続人全員が一同に介して話し合う必要はありません。何名かづつ順番に話し合ったり、電話やメールなどで話し合った場合でも、最終的に相続人全員が合意すれば遺産分割協議は有効に成立します。

遺産分割協議の際に知っておくべきこと

遺産分割協議ではさまざまな理由で相続人同士がもめることがありますが、以下のことを知っておくとスムーズに交渉を進めやすくなります。

遺産分割の方法

遺産の種類によっては、平等の割合で分けるのが難しい場合も少なくありません。そんなときは、以下の分割方法の中から状況に応じて適切な方法を選びましょう。

現物分割

自宅は長男が相続し、預金は次男が相続するというように、遺産を現物のままで取得者を決める方法です。

換価分割

遺産を売却して、その代金を分け合う方法です。

遺産として3,000万円の自宅と1,500万円の預金がある場合、現物分割では公平に分ることはできませんが、自宅を売却すれば合計4,500万円の金銭を公平に分け合うことが可能になります。

代償分割

遺産を現物で相続した人が、他の相続人に代償金を支払うことで不公平を解消する方法です。

上記の例では、長男が自宅を相続する代わりに代償金として1,500万円を次男に支払えば、公平な遺産分割が可能となります。

特別受益

被相続人から遺贈や生前贈与によって他の相続人よりも多くの財産を得ている相続人がいる場合は、その人が得た財産を遺産に持ち戻した上で遺産分割を行うことができます。

このことを「特別受益の持ち戻し」といいます。

寄与分

逆に、被相続人の財産の増加や維持に貢献した相続人がいる場合には、「寄与分」を主張することで他の相続人よりも多くの遺産を取得できます。

調停または審判

遺産分割協議で交渉がまとまらない場合は、家庭裁判所へ遺産分割調停または遺産分割審判を申し立てることになります。

調停では、中立公平な調停委員を間に入れて話し合うので、相続人だけで話し合うよりも解決しやすくなります。

調停でも話し合いがまとまらない場合は、審判手続きに移行して、裁判所に遺産分割方法を強制的に決めてもらうことになります。

もめる前に弁護士に相談を

遺産分割の問題で親族ともめてしまうと、その後の交流にも支障をきたしてしまうおそれがあります。もめる前に弁護士を間に入れて話し合えば、合理的な解決が期待できます。

すでにもめてしまっている場合にも、できる限り早めに弁護士を入れてトラブルを解決した方がよいでしょう。

お困りの際はひとりで悩むよりも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。