交通事故で亡くなった方のご家族の方へ

死亡事故

交通事故で被害者の方が亡くなられた場合、残されたご家族の方の心の傷は計り知れないほど大きなものとなるでしょう。

加害者が任意保険に加入していれば補償は受けられますが、保険金は自動的に支払われるわけではありません。ご家族の方が保険会社と示談交渉を行う必要があります。

悲しみの中で示談交渉などを行うのは辛いものです。突然の出来事による悲しみのなか、保険会社とのやり取りは、やり取りになれないことも加わり精神的な負担となります。

ここでは、交通事故で亡くなった方のご家族が示談交渉をするときの注意点や、適正な賠償金を受け取るためのポイントをやさしくご説明します。

突然の事故で家族を失う苦しみ

交通事故で突然、大切な家族を失った方は、それまで想像もしていなかった苦しみを味わわれるようになります。

私たち弁護士も、ご相談者やご依頼者から次のような声をお聞きすることが多いです。

大切な人ともう会えない悲しみ

賠償金をいくら積まれても、亡くなった方は戻ってきません。

ご家族の方は、大切な人ともう会えないという寂しさに加えて、「もっと、こうしてあげればよかった」「あんなこともしてあげたかった」というような後悔の念を持たれることも多いようです。

加害者に対する怒り・憎しみ

「あと少しタイミングがずれていたら」「加害者がもう少し注意してくれていたら」

考えても仕方ないことだとは分かっていても、加害者に対する怒りや憎しみを消すことは難しいでしょう。

加害者の重過失で事故が起こった場合や、まともに謝罪しないような場合は、加害者の厳罰を求めるのも当然だと思います。

一方で、ちょっとした過失で事故が起こった場合で、加害者が心から謝罪しているようなケースでは、ご家族は怒りや憎しみをどこにも向けようがなく、それだけに苦しまれることもあります。

経済的な苦労

一家の大黒柱が亡くなった場合は、家族の生活費が入ってこなくなります。もちろん、保険会社から賠償金はもらえますが、それで家族の生活がずっと補償されるわけではありません。やがて経済的に苦労するという不安は拭えないでしょう。

主婦(主夫)の方が亡くなった場合も、家事や育児をしてくれる人が突然いなくなりますので、生活に支障をきたしてしまいます。

ご遺族が示談交渉で注意すべきこと

死亡事故で保険会社と示談交渉をする際には、そもそもご遺族にとって不利な点がいくつかあります。

示談交渉に臨む際は、あらかじめ以下の点に注意して対策を考えておく必要があります。

精神的な負担が大きい

ご家族の方が亡くなられてからしばらくは、葬儀等であっという間に時間が過ぎていきます。

その間にも加害者や保険会社の担当者が謝罪・挨拶に見えますが、対応するのは辛いものです。

示談交渉は四十九日が過ぎた頃から始められるのが一般的ですが、ご遺族は交通事故のことは思い出したくないのが普通です。

そんななか賠償金について、保険会社と交渉するのは、とても負担が重いものです。

過失割合の証明が難しい

もらい事故などのように、被害者の過失が全くない場合は特に過失割合は問題になりません。しかしながら、無過失であることが明らかでない交通事故では、交通事故の態様によっては、被害者にも過失が認められる場合があります。その場合、被害者の過失割合に応じて賠償金が減額されます。このことを「過失相殺」といいます。

保険会社は加害者の言い分に従い、被害者の過失割合を過大に評価して示談金を計算することが多いものです。

ご遺族が事実を確認しようにも、被害者ご本人は既に亡くなっています。過失割合を争うには、客観的な証拠を確保しなければなりません。

ドライブレコーダーや防犯カメラなどに事故の状況がはっきりと映っていればよいのですが、そうでない場合は目撃者を探したり、警察の捜査記録を取り寄せるなどの調査が必要となります。

死亡事故の場合は、刑事事件として扱われることが多く、刑事事件の被害者として刑事裁判で証拠として提出された資料を収集することで、交通事故時の状況を確認することもあります。

交通事故後には警察で遺族が話を聞かれることもあります。警察と情報を共有して、まずは警察から事故状況等について確認するとよいかもしれません。

適正な賠償金額が分からない

死亡事故の場合に限らず、初めて交通事故の問題に直面した方は保険会社から示談金を提示されても、その金額が適正かどうかが分からないものです。

そんな状況で、悲しみに暮れているご遺族の中には、「大切な人の命が奪われたのに、こんな金額では納得できない」と思う方もいれば、「難しいことは考えられない。どうでもいい」と思う方もいます。

いずれにしても、交渉を進めて示談をしなければ、いつまでも賠償金を受け取ることはできません。亡くなった方のためにも、適正な賠償金額を知って交渉することが大切です。

死亡事故で受け取れる賠償金

死亡事故でご遺族が受け取れる賠償金は、主に以下のものです。

  • ・死亡慰謝料
  • ・死亡逸失利益
  • ・葬儀費用

即死ではなく、病院で治療を受けた後に亡くなった場合は、以下の賠償金も受け取れる可能性があります。

  • ・治療費
  • ・入通院慰謝料
  • ・入院雑費
  • ・付添看護費
  • ・休業損害

見慣れない言葉が多く並んでいて、何が何だか分からないという方もいると思います。

弁護士に損害賠償請求を依頼すると、保険会社の提示額について一緒に検討することができます。損害賠償金の増額が期待できるというメリットもありますが、何よりも、慣れない保険会社との交渉から解放され、安心して示談交渉を行えるメリットが大きいと思います。

死亡事故の示談交渉で困ったときは弁護士に相談を

大切な方を失って悲しみの中で示談交渉が始まったら、精神的な負担に押しつぶされないために、弁護士に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。

弁護士は、ご依頼者の代理人として示談交渉を行います。ご遺族の方は、加害者や保険会社と直接やりとりする必要がありません。

弁護士費用が気になると思いますが、弁護士費用特約が使える場合は、自己負担なしで弁護士に相談・依頼ができます。

当事務所では、死亡事故の損害賠償請求については、相談料無料・着手金無料で行っています。弁護士費用特約がない場合であっても、一度、相談を検討してみてはいかがでしょうか。

弁護士に依頼すれば、上記のように賠償金が大幅にアップすることも少なくありません。報酬金(弁護士費用)を負担しても、賠償額の増額等を考えると、マイナスになることはないと思われます。当然のことながら、ご依頼することによりマイナスになる可能性がある場合は、はっきりと説明しますので、ご安心ください。

当事務所は、困っている方をサポートして喜んでいただく、あるいは苦しみを軽くしていただくために活動しています。お困りのときは頼っていただきたいと思っています。

じっくりとお悩みを伺いますので、お気軽にご相談ください。