弁護士法人こじま法律事務所

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相続問題 2021.7.12

相続を拒否したい

こじま法律事務所~コラム

相続を放棄する手続き

被相続人に借金がある場合や、他の相続人とかかわりたくない場合には、相続放棄をすることで相続関係から脱することができます。

相続放棄の手続きは弁護士や司法書士などの専門家に任せることもできますが、それほど難しいものではないので、ご自身で手続きをするのもよいでしょう。

ここでは、自分でできる相続放棄の手続きをご紹介します。

相続放棄の手続きの流れ

早速、相続放棄の手続きを流れに沿って解説していきます。

相続財産の調査

まず、亡くなった方(被相続人)の財産をしっかりと調査することをおすすめします。

被相続人に借金があっても、それを上回るプラスの財産がある場合には、相続した方が得になります。

いったん相続放棄をすると撤回できませんので、事前に相続財産の調査をしておきましょう。

必要書類をそろえる

相続放棄をするには、以下の書類が必要となります。

・相続放棄申述書
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・相続放棄をする人の戸籍謄本
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

相続放棄申述書の書式は裁判所のホームページからダウンロードできます。

被相続人の配偶者または子以外の人が相続放棄をする場合は、他にも戸籍謄本等が必要です。詳細は裁判所のホームページで確認できます。

ご参考までに名古屋家庭裁判所のホームページはこちらになります。 ⇒リンク

その他にも、事案の内容に応じて資料の提出を求められることがあります。その場合は、裁判所の指示に従って提出しましょう。

費用を準備する

相続放棄の手続きに必要な費用は、以下のとおりです。

・手数料(収入印紙代):800円
・予納郵券(郵便切手):470円程度

郵便切手は、裁判所ごとに金額や種類の組み合わせが異なります。事前に提出先の家庭裁判所で確認しておきましょう。

家庭裁判所に書類と費用を提出する

必要書類と費用が準備できたら、それらを家庭裁判所へ提出することによって相続放棄の申述をします。

提出先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所からの照会に回答する

相続放棄の申述をしてからしばらくすると、家庭裁判所から照会書が届きます。照会書には、本当に申述人が自分の意思で相続放棄を求めているのかを確認するとともに、詳しい事情を確認するための質問事項が記載されています。

回答書が同封されているので、そこに回答を記載し、家庭裁判所へ返送します。質問に対して素直に回答しましょう。

家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

家庭裁判所が回答書を確認し、問題がなければ相続放棄が許可されます。その場合、改めて家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が届きます。この書類が届いたら、相続放棄の手続きは完了です。

相続放棄の手続きが可能な期間

相続放棄の手続きは、自分のために相続が始まったことを知ったときから3ヶ月以内に行わなければなりません。通常の場合は、被相続人が亡くなった日の翌日から数えて3ヶ月以内が期限となります。

この期間のことを「熟慮期間」といいます。3ヶ月以内は相続財産を調査するなどして相続するかどうかを熟慮することができます。

例外的に、被相続人が亡くなってから3ヶ月以上が経過しても相続放棄できる場合もあります。

例えば、被相続人に借金があることをしばらく経ってから知ったような場合です。このような場合には、被相続人に借金があることを知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄が可能です。

ただし、この場合には、被相続人の死亡から3カ月が過ぎているため、被相続人の借金のことを知らなかったのかについて調査が行われることがあります。

このときの回答次第では、「被相続人の借金を知り得たはずだ」と判断され、相続放棄が認められない可能性もあります。

そのため、被相続人が亡くなってから3ヶ月以上経ってから相続放棄の申述をする場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼した方がよいでしょう。

相続放棄できない場合

相続を単純承認すると、その後はもはや相続放棄はできなくなります。

単純承認とは、被相続人の財産を無条件で引き継ぐことをいいます。プラスの遺産もマイナスの遺産も含めてすべてを相続します。相続開始後、特に手続をしなければ単純承認したことになります。

また、以下の場合も単純承認したものとみなされるので、注意が必要です。

・相続財産の全部または一部を処分した場合
・3ヶ月以内に限定承認も相続放棄もしなかった場合
・相続財産を隠匿した場合等

相続財産の処分とは、被相続人の預金を引き出して消費したり、不動産を売却するなどの行為です。

特に注意が必要なのは、換金可能なものを捨てたり、借金の一部を返済した場合も財産の処分にあたり、相続放棄ができなくなる可能性が高いということです。

相続放棄の熟慮期間中は、相続財産はすべてそのままの状態にしておきましょう。

相続放棄の手続きで迷ったら弁護士へ相談を

相続放棄の手続きは、通常は難しくないので、わざわざ専門家に依頼しなくてもご自身でできるものです。ただ、裁判所での手続きを自分ですることに不安があったり、相続放棄の手続を確実に行いたい場合には、弁護士等の専門家に依頼することを検討してもいいかもしれません。

特に、いざ自分で実際に手続しようとしても迷うことがあったり、3ヶ月の熟慮期間がすでに経過していて困るというケースも少なくありません。

そんなときは、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。専門の弁護士からアドバイスを受ければ、難なく解決することも多いはずです。

ひとりで悩まず、弁護士のサポートを受けて相続放棄の手続きをスムーズに済ませましょう。

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よくいただくご質問をまとめました

(主な経歴)

愛知県犬山市出身
1977年生まれ

愛知県立犬山南高校卒業
立命館大学法学部卒業
立命館大学法科大学院修了

弁護士登録 2010年
愛知県弁護士会所属

プロフィール写真
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小嶋道明

大学卒業後、愛知県内の信用金庫に勤務をしましたが、弁護士になる夢を捨てきれず、司法試験に挑戦。司法試験に複数回挑戦した後、法科大学院を経て32歳のときに合計6回目の挑戦で合格することができました。そして、岐阜市の法律事務所で弁護士としての第一歩を踏み出しました。

法律事務所では、離婚事件や労働事件、刑事事件など、さまざまな事件を扱いました。

その後、メーカーや専門商社に企業内弁護士として勤務し、契約書の審査や社内のコンプライアンス研修などを行いました。企業内弁護士としての生活は、上司や同僚にも恵まれ、安定していました。

ただ、一度の人生を悔いのないものにしたいと一念発起し、生まれ育った犬山市に法律事務所を開設しました。開業後もさまざまな人や会社とのご縁がありました。令和3年3月に事務所を扶桑町に移転しましたが、扶桑町・大口町・江南市・犬山市等の地域の皆さまに支えられ現在に至っています。地域の皆さまに法的トラブルが降り注いでも、弁護士として前向きになれるような活動を行い地域の皆さまの役に立つ存在でいたいと考えてます。

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