弁護士法人こじま法律事務所

KOJ IMA LAW OFFICE

交通事故 2021.6.10

治療の打ち切りと解決の流れ

こじま法律事務所~コラム

車に乗り、信号待ちの際に後続車に追突されたり、横断歩道を歩行中に自動車に衝突されたなどの自分に過失がない事故があります。当事務所への交通事故のご相談の中でも、このような追突事故等の過失がない事故が多数を占めています。

 

自分には過失がありませんので、加害者の損害保険会社が治療費を負担しますが、交通事故による痛みや痺れが残っているのにも関わらず、損害保険会社が治療費の支払いをストップすることがあります。当事務所のご相談・ご依頼される理由として多いのが、治療の必要があると感じているのにもかかわらず、保険会社が治療費の打ち切りを予告してきたというものです。

 

今回は、交通事故の被害に遭い、ケガで病院に通っているにも関わらず、保険会社にその治療費の支払いを打ち切られたBさんの事例を通じて説明します。

 

過失割合

発生した交通事故について、事故の当事者それぞれの過失(落ち度)の程度を過失割合といいます。交通事故の過失割合は80:20などと表し、過失がない場合は0、全面的に過失がある場合は100になります。

 

今回、赤信号で停車していたBさんに落ち度はありませんので、Bさんの過失は0となります。追突してきた加害者の保険会社も、Bさんの過失は0と考えており、過失割合は問題になりませんでした。

 

車の修理費用(物損)

この事故で、Bさんの自動車の後部が大きく凹むなどしました。幸いにも、修理できる状態でしたので、修理することにしました。修理費用やレッカー費用などは、Bさんの保険会社から支払われました。

 

けがの治療

Bさんは、この事故で首や肩を痛めました。治療のため、最寄りの整形外科に通院しました。首や肩の痛みやシビレがひどく、事故から3カ月ほど過ぎても、医師からは継続的な治療が必要と言われるほどでした。

ところが、保険会社は交通事故から4カ月で治療費の支払いを終了すると言ってきました。

まだシビレ等が残っていて、日常生活にも困る状態だったBさんは、どのように対応したらよいのか分からず困ってしまい、弁護士に相談し、弁護士に依頼することにしました。

 

保険会社との交渉

Bさんは当事務所に依頼をしたので、弁護士が保険会社と治療費の支払について交渉をしました。ただ、交渉の結果、2週間の延長を認めることまでは合意したものの、それ以上の治療期間延長には全く応じませんでした。

 

保険会社が治療費を負担する期間までで治療を終わらせることも考えられますが、Bさんのシビレ・痛みはひどく、自費で通院を継続することにしました。

結局、交通事故発生から7カ月するまでの間、交通事故によるケガの治療をすることになりました。

 

後遺障害等級の認定

Bさんの主治医に後遺障害診断書、Bさんが自費で通った機関の診断書・診療報酬明細書の作成をお願いし、後遺障害等級の認定を申請しました。

審査には約2月かかりましたが、Bさんは後遺障害14級と認定されました。

そして、まず、自賠責保険から後遺障害診断書作成費用等がBさんに支払われました。

 

保険会社との交渉を経て、あっ旋手続へ

Bさんに後遺障害等級第14級が認定されましたので、これに基づき保険会社と損害賠償金について交渉をしました。

ただ、保険会社の担当者は、治療費の支払いを途中で打ち切っているためか、合意することが困難なほどの低い金額しか提示しませんでした。

そこで、紛争処理センターの和解あっ旋を申し立てました。保険会社とはこの手続を通じて調整をした結果、納得のできる金額で解決することができました。具体的には、保険会社が支払った治療費等を除いて、Bさんは約300万円を受け取ることができました。

 

Bさんの治療費打ち切りのポイント

Bさんは追突事故で首や肩を痛め、整形外科に定期的に通院したにもかかわらず、痛みが残ってしまいました。後遺障害等級14級が認められましたが、私生活への影響は少なくありませんでした。

保険会社から納得のいかない治療費の打ち切りを言い渡されたとしても、泣き寝入りすることなく、弁護士に依頼してきちんと治療等を行われたことがBさんの特徴でした。

保険会社から治療費の打ち切りを言い渡された場合、残念ながら、弁護士に依頼をしても治療費の支払期間が大幅に延長されるとは言えません。しかし、交通事故による痛みに関する問題を解決せずには、体の面でも、精神面においても、交通事故前の日常生活に戻ることは難しいです。

保険会社から治療費の打ち切りを言われた場合は、まずは、医師と相談したうえで、治療の必要性等を保険会社の担当者に伝えてみて、延長を交渉してみはいかがでしょうか。それでも、効果がない場合は、弁護士にご相談・ご依頼することで納得のいかない結果を防ぐことができる可能性があります。

 

今回、Bさんは保険会社との交渉等を当事務所へ依頼されましたが、Bさんが負担した弁護士費用は0円でした。一緒に暮らすご家族が自動車保険の弁護士費用特約に入っており、弁護士費用特約を利用されたことから、弁護士費用をお支払いいただく必要はありませんでした。

 

Bさんは、慰謝料等の損害賠償金に満足したこと以外にも、保険会社の担当者との交渉をしなくてもよいこと、保険会社から治療費の打ち切りをされたにもかかわらず後遺障害が認定されたことに満足されておりました。

なお、弁護士費用特約を利用されても、保険の等級が下がることはないので、ご安心ください。

 

最後に、交通事故の被害に遭われたら、弁護士費用特約を利用して、弁護士に相談することも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。ご自身で保険会社と交渉するよりも、短時間で結果を出せる可能性があります。また、不安や疑問なども弁護士に直接相談できるので、交渉によるストレスもかなり減らせるでしょう。

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(主な経歴)

愛知県犬山市出身
1977年生まれ

愛知県立犬山南高校卒業
立命館大学法学部卒業
立命館大学法科大学院修了

弁護士登録 2010年
愛知県弁護士会所属

プロフィール写真
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小嶋道明

大学卒業後、愛知県内の信用金庫に勤務をしましたが、弁護士になる夢を捨てきれず、司法試験に挑戦。司法試験に複数回挑戦した後、法科大学院を経て32歳のときに合計6回目の挑戦で合格することができました。そして、岐阜市の法律事務所で弁護士としての第一歩を踏み出しました。

法律事務所では、離婚事件や労働事件、刑事事件など、さまざまな事件を扱いました。

その後、メーカーや専門商社に企業内弁護士として勤務し、契約書の審査や社内のコンプライアンス研修などを行いました。企業内弁護士としての生活は、上司や同僚にも恵まれ、安定していました。

ただ、一度の人生を悔いのないものにしたいと一念発起し、生まれ育った犬山市に法律事務所を開設しました。開業後もさまざまな人や会社とのご縁がありました。令和3年3月に事務所を扶桑町に移転しましたが、扶桑町・大口町・江南市・犬山市等の地域の皆さまに支えられ現在に至っています。地域の皆さまに法的トラブルが降り注いでも、弁護士として前向きになれるような活動を行い地域の皆さまの役に立つ存在でいたいと考えてます。

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