解雇

解雇をめぐり、次のようなトラブルを経験した方もいるのではないでしょうか?

・解雇をした従業員から突然訴えられてしまった ・全く仕事をしない社員を辞めさせたいが、どのようにして辞めさせればいいか分からない ・労働基準監督署から突然連絡が入り、警告を受けてしまった
解雇解雇にまつわる問題中小企業・個人事業の場合、労働者の力不足、職場の人間関係の悪化などをきっかけに解雇を検討することもあるかもしれませんが、法律上、労働者を解雇するのは難しい現実があります。

勤務成績や能力、勤務態度などが悪く、他の従業員との関係を悪化させる社員であっても、簡単に解雇することはできません。仮に、解雇の有効性を検討せずに解雇をしてしまった場合には、その従業員から労働審判や裁判などを起こされたり、他の社員を巻き込んだ紛争になったりする危険もあります。

■解雇の種類は3つ

企業や事業主が、一方的に労働契約を終了させることを解雇と言います。解雇には、①普通解雇、②整理解雇、③懲戒解雇などの種類があります。

      • ①普通解雇

        労働契約解約の申し入れと考えられていますが、有効となる範囲は広くありません。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として解雇が無効になります。
        普通解雇の有効性については、解雇理由が重大なものであるのか、企業や事業主が期待可能な解雇回避措置を尽くしたかなどがポイントになります。
        例えば、単に能力などが不足しているというだけでは、無効になる可能性が高く、求められている職務の内容から能力不足などが重大なものと言えるのか、教育などの改善の機会を与えても改善されなかったのかなどの事情を含めて、合理的な理由があり、社会通念上相当と認められることが必要です。

      • ②整理解雇

        経営上の必要性を理由とする人員削減のための解雇です。整理解雇も、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として解雇が無効になります。整理解雇には、有効性を判断する4つの基準があります。

        • ・人員削減の必要性があること
        • ・解雇回避努力をしたこと
        • ・解雇される者の選定が合理的であること
        • ・労働組合や被解雇者と十分協議をしたこと

    例えば、抽象的に会社の経営が悪化しそうだという理由だけで、整理解雇することはできません。

    • ③懲戒解雇

      懲戒処分として解雇するものです。懲戒処分の一つですので、懲戒処分をする前提として、就業規則に懲戒解雇の規定があり、周知されていることが必要です。
      懲戒解雇は懲戒処分のなかで最も重い処分です。解雇予告なしに即時に解雇したり、退職金の全部または一部が支給されなかったりすることもあります。ただし、非常に重い処分ですので、退職金の不支給や減額は、著しい背信行為がある場合に限られています。

    ■解雇が有効かどうか、弁護士に相談を

    弁護士に相談以上のように解雇には種類があります。また、解雇は従業員との労働契約を一方的に解消するものであるため、解雇が有効になる場合は限定的に考えられています。
    従業員の解雇を検討している場合、弁護士に依頼することで、解雇が有効になる可能性が高いのか、解雇する場合の手続についてアドバイスを受けることができます。

    また、解雇した従業員とのトラブルを防止するために、労働環境を整えておくこともできます。万が一、労働審判や裁判になった場合にも、弁護士があらかじめ関与することで、具体的な事案に応じた対応が可能になります。

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